会計士の気まぐれ日記

ビジネスに関する有益な情報をお届けします。たまにただ思ったことや感じたことを書きます。

数字の持つ本当の意味

「祝、売上高20%増!」

「うちは平均年収1500万円です!」

「国内出店100店舗目突破!」

 

 

世の中には、数字を使った広告やニュースが溢れかえっています。

数字そのものは誰から見ても同じであり、絶対的です。

3という数字を見て、4と言ったり7と言ったりする人はいません。そういう意味で、数字は絶対的なものであると言えます。

 

 

しかしこの数字はとても面白いもので、見る人によって数字が語る実態のイメージが全く異なることがあります。

そういう意味では数字というものはかなり相対的なものであると言えますよね。

巷では、この数字と実態のギャップを巧みに使い、顧客や投資家、相手方を騙そうとすることが日常茶飯事のように起きています。

また、情報提供者側にそのような悪意がなくても、情報を得た人が与えられたデータに対して間違った捉え方をし、結果的に誤った判断をしてしまうこともあります。

そのため、私たちは世の中に溢れかえる数字というものを正しく理解し、実態はどうなっているのかを正確に探る能力が必要なんだと最近思うのです。。

 

 

 

 

最近就活をしている人だと、どこの会社の平均年収がどれくらいだとかいう話を耳にするかもしれません。

例えば、あなたが以下の2つの会社を候補として提示されたとしましょう。

 

A:平均年収770万円

B:平均年収620万円

 

 

数字から本当の実態をイメージしようとしない人は、単純にAの会社の方が平均年収がいいから、Aの方に行こう!

という意思決定をしてしまいます。

しかし、数字から本質を見く能力がある人は、上記のようにただ単に平均年収の異なる企業を並べられたからといって、Aに入った方が自分の給料が高くなる、といったような判断はしません。

以下の図を見てください。

 

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この図は、先ほどのA社とB社の、役職ごとの給与テーブルです。

実際にはこんな簡単な給与テーブルとなっている会社はほとんどないと思いますが、役職ごとの年収は全く変わらないということがわかります。

 

 

 

このように考えると、ただ単に平均年収を見てその会社の給料がいいかを判断するのはいかに危険かがわかります。

その会社の平均年齢や、総社員数等も調べて初めて本当の実態に近くことができるのです。

 

 

他にも、とある超一流企業では面接でこのような質問をされるそうですが、あなたはどう答えるでしょうか?

 

「売値が1本100円で、仕入れ値が1本50円の鉛筆があったとする。あなたはこの鉛筆を何本売りますか?」

 

 

 

1本売るごとに50円の粗利益が出るのは誰の目から見ても明らかです。

しかし、この1本50円の粗利というデータのみを見て、100万本でも1000万本でも販売すればよいではないか、という判断をしてしまうのは数字が持つ意味を本当に理解できていないのかもしれません。

 

 

鉛筆の販売も、100本くらいまでなら自分で適当に買ってきて知人等に売ることができるでしょう。

しかし、1万本とかを売ろうとなると、まず仕入れるために鉛筆のメーカーと契約をとらなければならくなります。

また、在庫としておいておく場所も必要となりますし、販売するための店舗を構える必要も出てきます。

もっとたくさん売ろうとなると、店舗数を増やす必要もあるし、仕入時の輸送コストも発生してきます。

このように、1本50円の利益というデータの裏には、「販売数量によって潜在的な追加コストが変わる」という真実が隠れています。こう考えると、ただ単にたくさん売ればいいというのはあまりにも愚直するぎるということがわかります。

 

 

 

何が言いたいのかというと、世の中の数字に踊らされるな、ということです。

売上高が伸びている企業を優良企業と判断するのは尚早で、それ以上のコストが膨らんでいるかもしれない。

出店数の増加は、実は不採算店舗を増加させているだけなのかもしれない。

 

 

このように、与えられたデータを馬鹿正直に受け入れるのではなく、一歩踏みとどまってその数字の本当に意味するところはなんなのか?ということを探るクセをつけたいものですね。

これができる人は社会でもかなり重宝される人材になると思いますし、判断の誤りによる下手な失敗等も起こさなくなると思います。

 

 

自分も仕事柄、出てきた数字を鵜呑みにしたら大変なことになる可能性を大いに孕んでいるので、実態を正確に読み取る能力を身につけることができるように日々努力していきたいものです。

 

 

 

今日も最後までお読みいただきありがとうございました。