厚生年金基金という闇
2014年4月に厚生年金保険法が改正されたことをきっかけに、解散する厚生年金基金が続出しています。今日は、厚生年金基金の解散によって、サラリーマンがどのような影響を受けるのかを簡単に書きたいと思います。
まず、企業に属している方は、基本的に「厚生年金」というものを毎月支払っています。国民年金と追加で払うやつですね。毎月の給与から天引きされる厄介なやつです。この厚生年金は、自分が退職したら、これまで自分が積み立てていた分を年金として国が支給してくれるようになります。
これが、厚生年金基金に加入すると、毎月の掛け金は通常の厚生年金よりも少し高くなるのですが、給付額が厚生年金よりも有利になります。そして、この給付を支払うのが、国と厚生年金基金団体の二つに分かれることとなります。以下の図を見ていただけると解りやすいでしょう。
見てもらえるとわかるように、厚生年金基金に加入することによって、本来国が支給するはずだった厚生年金の一部を、基金団体が支給することになります。この、部分を代行部分と呼びます。
この代行部分というところは、国が支給する分を肩代わりしているということなので、代行部分にあたる資産は絶対に基金に留保しておかないといけないのです。そりゃそうですよね。国が払うべき部分を肩がわりしますよーって言っておいて、その部分を支払えないとなったら、国の信用ががた落ちになりますもんね。そしてこの代行部分の金額を最低責任準備金と言います。まあ、厚生年金基金に加入していなくても、普通に厚生年金を支払っているだけでもらえる金額って考えていただけると解りやすいです。
そして最近問題になっているのが、この代行部分の資産が最低責任準備金額を下回る現象、つまり代行割れとなっている基金が多発していることです。代行割れになるとどうなるか。まず、基金は、普通に厚生年金しか加入していなくても従業員が受け取ることができたはずの金額も支払えなくなります。この状態になった厚生年金基金は、解散することを法令によって推奨されており、そして一旦はこの部分を国が支払うことになります。
しかし、この代行割れの部分は、基金が国にちゃんと支払わなければいけません。そのため、基金は、加入している企業に対して欠損を填補するために、追加の支払いを要求するのです。
となると、厚生年金基金の解散によって、従業員には以下のデメリットが生じる可能性が出てきます。
①普通の厚生年金よりも高い掛け金が天引きされていたのに、厚生年金だけ加入してた場合と受け取れる額が変わらない。つまり払い損。
②企業が損失を填補する必要があるために、倒産のリスクが高まったり、給料が減額されたりする。
どうですか?結構、この厚生年金基金の解散によって損失を計上している企業とかもあります。このようなことが生じるとしたら、大企業のサラリーマンも他人事じゃありません。なので、年金とかに頼るだけではなく、ますます自分でしっかり資産運用をできるようなファイナンシャル・リテラシーを身につける必要がありますね。
最後までお読みくださりありがとうございました。