会計士の気まぐれ日記

ビジネスに関する有益な情報をお届けします。たまにただ思ったことや感じたことを書きます。

円高になった理由

為替って、世界中の人たちの生活に影響するめちゃくちゃ重要な指標ですよね。

円高になったら輸入企業の業績はよくなって輸出企業の業績は悪化します。

海外旅行や留学にしたって、1ドル125円のときと1ドル75円のときでは全然コストが違ってきます。

 

 

2012年初頭のドル円は、75円台という市場初の水準で円高になりました。

僕もちょうどこのときあたりに高校の卒業旅行でグアムへ行っていたので、めちゃくちゃ円高やったのは覚えています。

これって、なんで円高になってたかご存知ですか?

1番の原因は、リーマンショックです。

サブプライムローン問題を引き金に、超大手の銀行であるリーマンブラザーズが倒産しました。

こんな世界的に大きな銀行だから、そりゃもちろん、世界中にリーマンに対する貸しがある人がいるわけです。

これで、リーマンが潰れたことで債権が回収できなくなり、世界中のありとあらゆる場所で巨額の損失が発生しました。

 

 

こうなると、株も不動産も、価格が破壊的に下がる一方だから、そういったリスク資産を持とうなんて人は誰もいなくなりますよね。

そこで、世界中の投資家は、リスクの低い安全な資産を買います。

基本的には、各国が発行する現金が最もリスクの低い資産なのですが、世界中の投資家はこういった有事が発生したときはこぞって日本円を購入するのです。

現物資産である「金」も、こういったときに購入されるので価格が上がるのですが、なぜ世界が危険な状態なときに円が買われるのでしょうか?

 

 

考えられる理由は二つあって、まず一つは、日本という国がものすごく安全だと世界から思われているからです。

日本では、テロとか世界中を震撼させるような事件が世界中の先進国の中でも特に少ない国です。

ものすごく大量に国債を発行している赤字国家ではあるものの、基本的に国そのものが潰れる可能性は極めて低いと世界中の投資家は思っているわけです。

 

 

二つ目の理由が、世界経済が危機のときは、みんなが円を買いたがることを市場参加者が理解しているからです。

「危ないときは円を買え」というのは、為替市場では常識的な考えとなっています。

そうなると、みんあが円を買おうとするから、そういうときに円を売っていた人もみんな円を買い始め、結果的に円を買う人が多くなって円高になるんですね。

 

 

つまり、死ぬほど簡単に言うと、世界経済が悪いときは円高に、良いときは円安になるんです。

その例を、以下のチャートを見ながら説明してみます。

 

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これは週足で、2012年の頭頃から現在 までのチャートです。

①のところで、安倍政権が発足しました。

金融政策、財政政策、成長戦略という3本の矢を掲げたことにより、日本経済が成長してデフレが脱却するやろうと世界中の市場参加者が思い始め、世界的に経済が良くなることが期待されたのでみんなが円を売ってドルや他のリスク資産を買い始め、円安になったのです。

 

 

②でまたちょっと円高になってますよね。

これは、アメリカの金利政策とかを決定する機関であるFRB(Federal Reserve Borad)、の元議長バーナンキ氏が、追加の金融緩和をやめると発言したからです。

アメリカという国が株や国債を買うのをやめると、国の購入のおかげでつり上がっていた資産の価格が上がりにくくなるため、今までドルの買いポジションを持っていた人が一気に利益確定したからということですね。

 

 

そして③で日銀が追加緩和を発表。

②と逆で、今度は市場にお金が大量に出回るため、そのお金で株とかのリスク資産に投資する人が増えるわけです。

ということは、株価とかも当然上がりますよね。

そして、株価が上がるってことは、景気、つまり世界の経済がよくなったってこと。

これにより、2015年の夏頃までものすごい円安が再加速したのです。

 

 

しかし、良い時代も長くは続きません。

2015年8月頃に、④チャイナショックがやってきます。

中国のバブルが少し弾けたんですね。

2012年から2015年までずーっと円安が続いてたということは、世界経済がかなりよかったということ。

中国もこれにより、バブルの状態、つまり現金以外の資産価格がかなり高騰していたんですね。

でも、中国政府が人民元の切り下げを行ったのです。

人民元は完全な変動相場制ではなくて、政府が決めた範囲内での変動に限定されます。

その下限を下げられたんですね。

 

 

どういうことか分かりますか?

基本的に、自国のレートが低くなればなるほど、国の貿易収支は良くなります。

輸出による外貨での売上が大きくなり、輸入による円貨での支払が小さくなるからです。

つまり中国は、自国経済が脅かされているから、自国のレートを切り下げるしかなくなったんですね。

これは、世界中に中国のバブルが崩壊する寸前であることを投資家に知らしめました。

これにより、経済がまた悪化するとの観測で円が買いまくられ、円安時代が少し転換したのです。

 

 

そして追い打ちをかけるように円高を加速させたのが、今年6月に行われた⑤イギリスの国民投票ですね。

EUの脱退がほぼ決まったことにより、これから世界経済が混沌とするのではないかとの考えを持つ投資家が増え、安全資産の円がまた大量に購入されたのです。

 

 

以上が、去年から今年にかけて円高になった理由です。

少し長くなった上に内容も難しかったかもしれませんが、こうやって色んな要因が重なり合って為替レートは動いているんですね。

最後までお読みくださりありがとうございます。