FinTechって何?その②
前回の記事では、FinTechがもたらす7つの大きなサービスのうち、4つを紹介させていただきました。
今回は、残りの3つについて紹介させていただきたいと思います。
まず、7つのサービスがどんなものだったか以下にまとめておきました。
①融資・・・ソーシャルレンディング、クラウドファンディング
②決済・・・モバイル決済、オンライン決済
③送金・・・オンライン送金、P2P送金
④投資・・・ロボアドバイザー、オンライン証券
⑤情報管理・・・PFM(家計簿サービス)、顧客管理、金融メディア
⑥業務支援・・・会計・労務サービス、データ分析、セキュリティ
⑦仮想通貨・・・仮想通貨決済受付サービス、仮想通貨取引所
では、⑤情報管理から。
みなさんは家計簿とかつけていますか?
実家暮らしをしている人はあまりつけていないといった人が大きかもしれませんが、特に結婚して子供がいる等、家庭を既に持っていらしゃる方は家庭の資金管理をしっかりしなければいけないので、家計簿をつけている方もいらっしゃるかと思います。
ほんの数年前までは、家計簿とか資金管理をするときっていのは、おそらく電卓と紙とペンを使っていたと思います。
しかし、最近ではスマホの普及によって、MoneytreeとかMoneyforward等の家計簿アプリを使っていらしゃる方も多いかと思います。
実は、このようなアプリもFinTechのサービスの一つです。
レシートの写真を撮ったら自動で支出日時、支出項目等を自動で記録してくれたりするアプリもあったりしますよね。
このようなサービスをPFM(Personal Finance Management)と呼びます。
このようなアプリを利用すれば、ユーザーは簡単にどこにどれだけ支出をしているか等を把握することができるようになるといったメリットがあります。
自分の銀行口座の入出金、残高も把握できるため、なかなか便利なものです。
しかし、メリットはユーザーだけにあるのではなく、金融機関やクレジットカード会社にもあるのです。
このようなアプリを管理している会社は、家計簿アプリをユーザーが利用している金融機関に情報を提供し合っています。
すると、金融機関はそのアプリに登録した取引記録を通じて、ユーザーがどのような取引を行っているのかが分かるようになります。
顧客がどのような取引を行っているかは、今まで金融機関が見えなかったところなので、融資の際の判断材料にも活かすことができたりするのです。
ただ、このサービスは非常にグレーでもあります。
ユーザーが「便利」と考えるか「気持ち悪い」と考えるかが非常に微妙だからです。
なので、これからそのような個人ごとに異なる境目をデータ化して提供するようなサービスに特化したようなビジネスも生まれてくる(もしかしたら、もう既に存在している)のかもしれません。
次に、⑥業務支援について説明します。
FinTechを活用していると言える業務支援サービスは、例えばクラウド会計ソフト等があります。
例えば、最近クラウド会計業界でトップのシェアを誇っている「Free」というソフトを利用すると、銀行口座を同期することでリアリタイムの各事業拠点の残高情報を見ることができたり、請求書や領収書を作成してくれると同時に仕訳をきって、試算表や決算書を作成してくれたりします。
大企業向けではないのですが、特に経理の人材が不足している中小企業でかなりの好評だそうです。
このように、ある取引が発生したことに対して自動で仕訳を計上してくれるようなサービスを展開することで、業務の効率化を売りにする、つまり、テクノロジーを利用して会計、ファイナンスの業務支援をしているわけです。
今はSAP等の会計システムを導入している大企業も全て会計をクラウド化し、経理の人員削減が大幅に行われることもあり得るでしょう。
こうなると、私が本業としている会計監査も、今は膨大な取引から数件の取引を見て、その取引に係る会計処理が適切に行われていたらOKとする「試査」という方法によって行われているものが、これからは全ての取引について会計処理と証憑が整合しているかを人工知能等によりチェックする「精査」に変わる可能性が出てきます。
これで世間を騒がすような粉飾決算も、なかなか行うのが難しくなるかもしれませんね。
最後に、⑦仮想通貨について説明します。
ただ、仮想通貨についてはひっっっじょーーーに奥が深く難しいため、本当に簡単に説明させていただきます。
仮想通貨というワードを聞いたことはあるでしょうか?
世界に流通する通貨、例えばドルや円は、それぞれの国の中央銀行が発券している実態のある通貨です。
つまり、国家という発行している主体があり、中央銀行という発行量等を管理している主体が存在しています。
これに対し、仮想通貨は、このような発行主体も管理主体も存在しません。
仮想通貨で最も有名なのが、おそらくみなさんも耳にしたことがあるBitcoin(ビットコイン)です。
そのため、ここではビットコインの仕組みとメリットについて非常に簡単に説明します。
まず、ビットコインは2009年1月4日に流通を開始し、それ以降10分ごとに25BTC(現在1ビットコイン約52,400円のため、約1,485,000円)が発行されています。
流通すれば、誰がどこに送金したとか、誰がどこで決済をしたとかの取引が発生するわけです。
そして、ビットコインの取引記録は、10分ごとにまとめて1つのブロックに格納されます。
ブロックに格納された取引記録は、ビットコインのネットワークの参加者のうち誰かが承認を行い(これをProof of Workという)、その承認を行った者に新たに発行された25BTCが付与されるという仕組みになっています。
下記URLは、ビットコインの取引記録を格納したブロックが発生している様子を見れるサイトのリンクなので、ご興味のある方は是非見てみてください。
この、取引記録がブロックごとに格納され、それを不特定のネットワーク参加者が承認する仕組みをブロックチェーンと言います。
ビットコインは、このブロックチェーンのシステムを使った通貨ということですね。
ブロックチェーンは、その説明だけでも分厚い本1冊を要するくらい難解な仕組みです。
なので、結局ビットコインは普通の通貨と比べてどこが優れているのかを説明して、今日は終わりたいと思います。
ビットコインは、以下の4つの場面で役立つといわれています。
①国際送金
②アンバンクト
③寄付
④マイクロペイメント
①国際送金ですが、前回の記事でも書いたように国際送金にはかなりの手数料がかかります。
また、各国の銀行の営業時間というものが存在するため、出金と着金の間に1日以上のタイムラグができることは往々にしてあります。
これが、ビットコインではほんの僅少な手数料で、しかもネット環境があるどの場所からでもリアルタイムで送金をすることが可能になります。
②アンバンクトとは、銀行口座を持たないことを言います。
日本に住んでいるとイメージが湧きづらいかもしれませんが、過去にハイパーインフレやデフォルトを起こしているジンバブエやアルゼンチンなどでは、それぞれの国が発行する通貨そのものが物凄く不安定だったりします。
お金ってのは、結局みんながそれを価値あるものと認めているからこそお金なのであって、みんなに価値が認められていないために、貨幣なのにお金としての価値がないものもあるのです。
こういった国の人たちは、そもそも銀行にお金を預けることが危険だったりします。
これが、ビットコインであれば、自由に貯蔵し、送金し、世界中で使うことが可能(決済可能な場所が増えるほど)となります。
③寄付についてですが、現在寄付を行おうと思ったら、慈善団体等を通して現地の人に届けられます。
こうした中間組織を経由するために、実際に寄付を必要としている現場に着金するまで時間がかかったり、慈善団体が受け取る手数料分が多めにかかったりします。
これがビットコインなら、被災者がSNSに投稿したQRコードをスキャンして、そこに送金するだけで、被災者に直接送金することが可能になります。
これはもちろん、被災していない人が寄付を受け取る犯罪が起こる可能性は否定できませんが。。
④現在インターネット上には、多くのクリエイティブな人がYouTubeやツイッター、ブログ等を通して有益なコンテンツを配信していますが、マネタイズの手段は限られており、せいぜい広告収入ということになっています。
これが、ビットコインを使って、例えば「動画を1回みたら2円」等の極めて少額の支払い(マイクロペイメント)をする方法が全世界に広がれば、世界中でクリエイティブな活動をやって、それで生計を立てようとする人が増えるかもしれないという可能性が広がります。
とりあえず、ビットコインとの説明はこの辺にしておきます。
ビットコインとかブロックチェーンは、本当に専門性が高くて難しい分野なので、ここでみなさんが理解するように説明するのはめちゃくちゃ難しい(というか、自分も完璧には理解できていない。。。)です。
なので、また機会のあるときに詳しく記事を書いていこうかなと思っています。
長い記事を最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。