会計士の気まぐれ日記

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アジア投資銀行について

今日は、今話題となっているアジアインフラ投資銀行(AIIB)について書いていきたいと思います。 




このような、複数の国が出資し合ってできた大規模なファンド(国際金融機関)は現在、いくつか存在します。 



たとえば、主だったものでいえば 

国際通貨基金IMF) 
世界銀行 
BRICS銀行 
アジア開発銀行(ADB) 



があります。 
同じ国際金融機関といはいえ、それぞれ加盟国、目的などは微妙に異なっています。 


たとえば、IMFの主な目的は、マクロ経済の安定だったり、為替相場の急激な変動を阻止したり、金融危機へ対応することですが、ADBの主な目的は、アジアの経済発展、貧困層への援助であります。 



そして、今年度以内に設立が予定されているアジアインフラ投資銀行(AIIB)は、中国が主導するものであり、主な目的はその名の通り、アジアのインフラ整備(道路とか都市開発とかいろいろ)とされています。 



これに、英国、イタリア、オーストラリアなど、世界の主要各国が参加を表明している状態にあるなかで、米国と日本はいまだ参加するかどうかは表明していません。 



では、日本はAIIBに参加すべきなのでしょうか? 


僕は、参加はすべきではないと思います。 



そもそも、このAIIB設立の目的は「インフラ整備」と謳われていますが、本当にそうなのでしょうか? 



というのも、確かにアジアでインフラ整備が必要なことは理解できるのですが、このAIIBはどの程度のインフラ整備を行い、最終的にアジアをどのようにしていきたいのかというビジョンが明確にされていないからです。 



しかも、このAIIBは各国のGDPの比率によって出資比率が決まることから、アメリカが参加しない限り、中国が最大の議決権を持つようになると考えられます。 



一部の報道でもあるのと同じように、僕はこのAIIBの設立が、インフラ整備によって中国への陸上、海上への流通経路を拡大し、中国の勢力を大きくするってことが最大の目的のようであるように思えてなりません。 



おそらく、アジアのインフラ整備を担う機関としてすでに存在しているADBは、日本が主導となっており、中国主導となっていることに不満を抱いていることが原因の一つではないかと思います。 



仮にAIIBが設立されれば、中国がアジア全体のことを考えてインフラ整備を行っていくのかに疑念が残るし、それこそ大阪都構想という案が生まれた理由である「二重行政」のようなものになってしまうのではないのでしょうか。 


ADBとAIIBという二つの財布ができることにより、無駄なインフラ整備が実施されてしまうのではないかということです。 




これについて、今朝の日経新聞の一面には、安倍総理が、 

「ADBと連携して、アジアのインフラ整備に今後5年間で約1100億ドル(約13兆2000億円)を投じる」 

と表明したとありました。 



そのなかで安倍総理は、アジアのインフラ整備の重要性を強調しながらも、AIIBのことについては触れなかったことから、AIIBがなくてもインフラ整備はやっていけるし、むしろADBを通じて日本の技術力を駆使した、質の高いインフラ整備を行ったほうがアジア全体の成長につながると考えているのでしょう。 



つまり、AIIBへの懸念を暗示しているようにも見て取れます。 



とにかく、来月6月6日に日中財務対話が開催される予定であり、そのなかでAIIBを巡って意見交換も行われると考えられるので、今後の動向に注目したいところです。