会計士の気まぐれ日記

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電通の不正取引

昨日、日本最大手広告代理店の電通が記者会見で、自社の広告ビジネスに関して不正の取引が存在していたことを発表しました。電通の存在を知らない人はいないと思います。なんせ、学生の就職希望人気ランキングでも毎年トップ50には入るほどですからね。高給取りが多いということも人気を博している要因んひとつかと思われます。

2016年3月期の有価証券報告書によると、社員の平均年収は1,228万円だそうです。日本のサラリーマンの平均年収が420万円程であることを考えると、なかなかの高給取りですよね。

そんな世界に誇る大手の広告代理店であろう電通が、一体何をしでかしたのでしょうか?

 

 

まず、広告代理店のビジネス形態を簡単に整理しておきます。

 

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上記の図のように、広告代理店は、広告主から掲載の委託料をもらい、それを元にテレビやインターネット、新聞などの媒体における広告枠を落札し、広告の作成まで手がけて掲載するというコミッションビジネスをやっています。

例えば、とある会社から2000万円でテレビ広告を打って欲しいという依頼が電通にきたとします。そしたら電通はテレビ会社からCM枠を1200万円で買い取り、また500万円で広告を政策します。そして、利益300万円を得るといった具合です。(このへんのあんばいが実務上どんなもんなのかは知らないので、現実とは異なるかと思いますが)

 

 

そして今回、広告主であるトヨタ自動車からの指摘で、国内デジタル広告事業(ネット上で写真や動画による広告を打つ事業)において不適切な場面があったことが発覚し、社内での調査を進めたところ、様々な不正が明らかになったとのこと。

具体的な不正は、以下の2パターンだそうです。

 

 

①広告を掲載していないにも関わらず、掲載委託料を請求していた

②実際の広告掲載期間と異なる掲載期間を報告して請求していた

 

 

①はもう論外ですよね。広告による宣伝効果が期待できるからこそ、広告主はお金を払っているのに、その広告が掲載されていないとなると広告主もたまったもんじゃありませんよね。でも、これって不正をやった電通はもちろんなのですが、広告が掲載されていなかった事実に広告主が気づくことができない仕組みもおかしくないですか?実際、ネットメディアでの広告については、広告主は直接配信実績を確認することはできないそうなのです。そうすると、②のような虚偽の掲載期間を報告するのなんて、正直やりたい放題ですよね。

 

 

今回の不正な請求金額は、①が320万円、②が2億3000万円とのことで、売上高が4兆円を超える電通にとったらそこまで重要な金額ではないのですが今回発覚したものは氷山の一角であることは間違いと考えていいと思います。明らかに広告宣伝効果が全くなかったけど、電通様に質問や文句を言えなかった広告主企業も沢山いることでしょう。これを機に、もっと多くの不正による請求が発覚されていく可能性が高いと思います。

しかもこれ、悪質なのがクライアントを直接欺いているということ。社内だけの問題じゃなく、社外にももろに悪影響を及ぼしているということです。こんな不透明な取引を許容していると、いつかもっと大事に発展しかねません。広告主も実際の広告掲載実績を確認できるようなシステムに変えていかないといけませんよね。

 

 

オリンピックでの裏金問題に絡んでいるのではないかとの疑惑が浮上したり、最近不透明なことが多い電通ですが、日本を誇る広告代理店としてもっと情報を積極的に開示していって透明性を高めてほしいものですね。

最後までお読みいただきありがとうございます。