自販機スキームって何?

正月ムードはとっくに過ぎ去りましたが、明けましておめでとうございます。

今年も有益な情報を更新していこうと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

今日は、数年前に不動産投資の際に流行った「自販機スキーム」についてお話してみたいと思います。

とはいえ今は使えないスキームなので、あくまで参考として見てください。

 

 

 

自販機スキームとは

 

自販機スキームという言葉は聞いたことがあるでしょうか?

不動産投資セミナーに参加したことのある人なら、聞いたことがあるって思うかもしれません。

このスキームは何かというと、「合法的に消費税の還付をもらう方法」なのです。

私たちは消費者として日常的に消費税を支払っています。

飲み物を買ったとき、服を買ったとき、車を買ったとき・・・基本的に私たちは一方的に消費税を支払う立場に置かれています。

じゃあ、服を販売している会社は消費税をどうやって払っているのでしょうか?

服を仕入れるときにもちろん消費税を支払っているはずです。

しかし一方で、服を販売したときに私たち消費者から消費税を受け取ってもいます。

 

 

 

このよう場合、基本的に会社は以下のように消費税を計算して、国に納付しています。

 

①預かった消費税

②支払った消費税

 

①-②=納付すべき消費税

 

 

簡単な例を挙げてみましょう。なお、消費税率は8%とします。

 

A社は、500円(税抜)で材料を仕入れて、それを1,000円(税抜)で販売した

 

 

この場合、A社が納付すべき消費税は以下のようになります。

 

①預かった消費税→80円

②支払った消費税→40円

 

①-②=80-40=40←納付すべき消費税

 

 

このように、預かった消費税から支払った消費税を納付する個人または法人のことを、課税事業者といいます。

営んでいる事業の規模がどんなに小さくても、届け出を行うことによって課税事業者になることができます。

そして課税事業者になり、以下のような状況となった場合は、消費税の還付を受けることができます。

 

 

①預かった消費税<②支払った消費税

 

 

 

この仕組みを上手く利用して、不動産投資の際に支払った消費税を意図的に多くすることにより還付を受けるように考案されたのが、「自販機スキーム」です。

 

 

課税売上と非課税売上

 

消費税法上は、すべての取引を以下の取引に分類します。

 

  1. 課税取引
  2. 非課税取引
  3. 免税取引
  4. 不課税取引

 

 

詳しい説明は省略しますが、先ほどの説明にあった「支払った消費税」っていうのは、必ずしも全額が控除できるわけではありません。

たとえば、ある会社では仕入れた際には課税取引に該当し、消費税を支払っているけれど、売上取引は非課税取引に該当し、消費税を預かっていなかったとしましょう。

この場合、その会社では永遠に消費税が還付され続けることになります。

 

 

そのため、基本的には支払った消費税として控除できるもの(控除対象仕入税額といいます)は、税抜きの課税仕入れ額に「課税売上割合」というものを乗じた金額に限定されます。(ちなみに、これが95%以上の場合は全額が控除できます)

課税売上割合は、以下の算式で計算されます。

 

課税売上割合=課税売上/ 課税売上+非課税売上

 

 

 

簡潔にいうと、非課税売上が多ければ多いほど、控除できる仕入税額も減ってしまうのです。

 

 

 

自販機スキームのからくり

 

以上を踏まえて、不動産投資の際に合法的に還付される状況をどのように作り出せるのか考えてみましょう。

ここでは、Aさん設立したX社(決算日は3月31日)が、3月20日に新築の1億円の不動産を購入し、住宅として貸し付けることにより賃料収入を得ることとしましょう。なお、建物価額が8,000万円、土地価額が2,000万円とします。

 

 

前提知識

 

 

建物の仕入れ→課税仕入

土地の仕入れ→非課税仕入

家賃収入→非課税売上

自動販売機の売上→課税売上

 

 

 

 

この場合、まずAさんが3月20日に不動産を購入したことにより、8,000万円×8%=640万円が支払った消費税となります。

しかし、住宅の貸し付けによる家賃収入は非課税売上であるため、課税売上がなければ「課税売上割合」は0となり、支払った消費税640万円は控除対象消費税額として認められません。そのため、もちろん還付も受けることができません。

 

 

しかし、3月20日に購入してから3月31日までは賃料を一切収受せず、逆に近くに設置した自動販売機の売上だけを課税売上として申告した場合はどうなるでしょうか?

 

 

この場合、課税売上割合は100%となります。そのため、先ほどの640万円は全て控除対象仕入税額として認められます。

3月20日から3月31日までの自動販売機の売上が3万円だった場合、預かった消費税は2,400円ですよね。そのため、この場合は、639万7,600円の消費税還付を受けることができるのです。

不動産の購入価格をフルローンで行った場合、初期のキャッシュアウトはたかだか数万円から数十万円です。そのため、一時に大きなキャッシュフローを得ることができるとして、不動産投資家から非常に好まれるスキームとなりました。

 

 

 

このスキームは、今では使えない

 

しかし、このスキームは今では使えません。

なぜかというと、以下のような法律が制定されたからです。

 

 

  1. 課税売上割合が著しく増加または減少した場合には、長期にわたり使用される固定資産について、通算っ課税売上割合でもって仕入れにかかる消費税額を計算する
  2. 課税事業者の選択を受けていた事業者がその提出の期間中に調整対象固定資産の仕入れ等を行った場合には、その仕入等を行った日の属する課税期間を含めた3年間または4年間は、課税事業者選択の不適用が制限される

 

 

上記の例の場合、不動産に貸し付けによる家賃収入は非課税売上であることから、翌期である4月1日以降は課税売上割合が非常に低い水準になります。

仕入れ時の課税売上割合から50%以上変動した場合は、3年間の課税売上割合を平均した「通算課税売上割合」をもって控除対象消費税額を計算しなおさなければなりません。

そして、通算課税売上割合―仕入時の課税売上割合に、支払った消費税額(640万円)を乗じた金額だけ追加で納付する必要性が生じてしまうのです。

 

 

 

これを避けるために、先ほどの自販機スキームを使った翌期からは課税事業者をやめればいいのでは?と思うかもしれませんが、それも2つ目の法律で阻まれています。

そのため、自販機スキームを使って還付を受けたとしても、結局はほとんどの部分について数年後に返還しなければならなくなることから、自販機スキームは使えなくなってしまっているのです。

 

 

 

ただ、この場合でも抜け道はあります。

頭のきれる人なら思いつくかもしれませんが、結局は通算課税売上割合が仕入時の課税売上割合から50%以上乖離しなければいいのです。つまり、翌期の4月1日以降も、非課税売上である賃料収入を上回る課税売上をたてればいいのです。

残念ながら、ここでは詳細は割愛します。。

 

 

ただ、この抜け道も不動産業界では常態化しつつあるとのことから、近いうち閉ざされてしまう可能性が高いです。消費税還付すらなくなってしまうとの噂もあります。

そのため、不動産投資を使って消費税の還付を狙いたい方は、今のうちかもしれません。

 

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。