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会計士の気まぐれ日記

時事問題、自己啓発、会計、経済、金融、プライベート等に関する情報を配信しています。

ANAとJALの比較

財務分析

まず初めに、あけましておめでとうございます。今年も宜しくお願い致します。

年末年始は、酒を飲みまくり、むしろ普段より疲労がたまったんじゃないかって感じでした。笑

それでも旧友と楽しい時間を過ごせたのはよかったし、ゆっくり読書もできたし、新年の計画も立てることができたのでまあまあ有意義に過ごせたんではないでしょうか。

 

 

 

さて、新年一発目は、日本人なら誰でも知っている、日本の航空事業を担う二つの会社、ANAJALの比較を行いたいと思います。

財務指標の相違→実際のビジネスの違いまで頑張って落とし込んで行きたいと思います。

 

 

まず、財務指標から見ていきましょう。

下記は、両社の基本的な財務指標をまとめたものです。

 

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規模的には、ANAの方がだいぶ大きいですね。ここまで差があるのは正直知りませんでした。売上高をとっても総資産をとっても、ANAの方がJALより大きいのが一目瞭然です。

しかし、それよりも驚いたのが、JALの方がANAよりも圧倒的に収益性・安全性ともにいいこと。

いくつか、上記の指標の意味を紹介します。

 

 

流動比率流動資産÷流動負債。高ければ高いほど、換金性の高い資産を多く有しているということなので、安全性が高いと見られる。

 

固定比率→固定資産÷自己資本。高ければ高いほど、自己資本に比べて減価償却や減損等の費用発生リスクを抱え込んでいることになるため、安全性は低くなると考えられる。

 

ROE当期純利益÷自己資本。近年よく重要視される指標であり、いかに自己資本から効率的に利益を創出しているかがわかる。高ければ高いほどいい。

 

PER→株価÷EPS(一株あたり利益)。このワードを知らずに株式投資をやっている人はいないはず。基本的に、一株あたり利益を正の価値として、実際の株価が今どれだけ割高なのか割安なのかを測る指標。比較指標として業界の平均PERを参考にするのが一般的。

 

 

とまあ、4つ紹介させていただきましたが、どれをとってもJALの方が優れています。ROEに至っては、ANAの2倍以上の水準です。

 

 

では、なぜ同じ航空業界に属するANAJALでここまで差が生じるのでしょうか。

JALANAより財務指標がいい点についていくつか仮説を立てた上で、それぞれ検証してみましょう。

 

 

仮説①:ANAは航空事業以外も手がけているから

ANA有価証券報告書を見ればわかるのですが、ANAは本業の航空事業以外にも、商社事業や旅行事業等も営んでいます。対して、JALは事業のほとんどが航空事業です。そのため、ANAが手がけている航空事業以外の収益性が悪いのではないか?という仮説がたちます。

そこで、ANAのセグメント情報を確認してみましょう。

 

 

上記は営業利益の数字ですが、ほとんどの稼ぎ頭は航空事業であることがわかります。

また、ANAJALそれぞれの航空事業の営業利益率は以下の通りです。

 

ANA→9.0%

JAL→15.8%

 

依然としてJALがいいことに変わりはありませんね。そのため、航空事業以外の事業が両社の業績の良否を隔てているとは言えなさそうです。

 

 

 

ANALCCを傘下に抱えているから

次に考えられる仮説は、ANAバニラ・エアやピーチといった、LCCをグループ企業として傘下に収めているからということが考えられます。

確かに、普通の航空産業とLCCは、運賃や空港駐留費といった多側面で違いがあるため、ANAの連結業績に悪影響を与えていることも考えられそうです。

 

 

しかし、ANAの連結PL上、持分法による投資利益が30億円出ていることから、少なくとも持分法適用会社であるピーチが赤字垂れ流しで足を引っ張っているということはなさそうです。

バニラ・エアは100%子会社で連結されているため、具体的に業績がどうなっているのかはわかりませんが、2015年3月期の官報公告によれば、売上高123億円、当期純損失40.46億円だとのこと。

 

 

なるほど、これか!!と思ってしまいそうですが、ANAの連結売上高は約1兆8,000億円です。バニラ・エアでいくら赤字を出しているとはいえ、これでANAの収益性が揺らいているとは到底考えられません。そのため、こちらの仮説も成り立たなそうです。

 

 

 

JALの方が就航路線の効率性がいいから

最後に仮説として挙げさせていただきたいのが、就航路線の違いです。前述の2つの仮説から、両社の違いはやはり航空事業で出ていることがわかったので、収益性の違いはやはり就航路線の違いからでているのではないかと考えました。中でも、航空事業の売上のほとんどを占める旅客事業について検証してみます。

 

航空会社は有報上、全便における座席数と旅客数から、利用率というものを計算して公表しています。

要は、どれだけ効率よくお客さんと運送できたかという指標ですね。数値が高ければ高いほどいい。そして、両社の国内線および国際線の利用率は以下の通りです。

 

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そこまで大差はないものの、JALの方が利用率が高いことがわかります。

ということは、JALの方が効率良く発着便を用意しているということです。どういうことでしょうか。

 

 

わかりやすいところでいうと、例えばANAは沖縄の那覇空港と北海道の新千歳空港を直行便で結んでいます。一方、JALは両空港の直行便はなく、一回東京を経由しないといけないことになっています。

このように東京を経由されることは、利用客にとっては少し煩わしいかもしれません。しかし、航空会社からすれば、日本のハブ空港となっている東京を経由させることで、東京から乗る利用客を追加させることができ、また、東京が目的地の利用客も追加することができます。つまり、ハブ空港を経由させることで、利用率は上がりやすくなるのです。

 

 

このように、ANAが路線拡大等により規模の拡大を図っているのに対して、JALは利用率を高めるために堅実に就航路線を選択しているため、JALの方が収益性が優れているのだと判断できます。

安全性については、JALは2010年に会社更生計画を提出した後、2012年8月に再上場しているため、単純に比較することは難しいため、上記の仮説が安全性の違いを判断する上で重要となるとは言い切れないことだけご了承いただきたいと思います。

 

 

 

ただ、面白いのは両社とも、株価の推移がものすごく似ているということ。

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似すぎじゃないですか?笑

PERを見たってJALの方が理論的に言えば割安なのは一目瞭然だし、ここまで読んできたらJALの方が高騰してそうです。配当性向も両社で大きな違いはありません。しかし、株価は財務情報だけでなく、株主優待や会社のビジネスの共感できるか等の定性的な情報によっても左右されます。

そのため、くれぐれもJALの方が収益性や安全性がいいからといって、株価が上昇するのを期待して爆買いしたりするのはやめましょう。笑

 

 

今日も最後までお読みいただきありがとうございます。