ソフトバンクのスプリント減損問題について
2013年、SoftBankはアメリカの大手通信事業会社であるスプリントを数兆円かけて買収したことはまだ皆さんの記憶にも新しいかと思います。
つまり、スプリントはSoftBankの子会社となったのです。
しかし、スプリントの事業が振るわず、スプリントは2014年10月〜12月の四半期決算で、商標権や固定通信事業の資産を対象に、約2500億円もの減損損失(資産の価値が減少したために計上する損失)を計上しました。
親会社であるSoftBankは、自身の財務諸表を作成しますが、子会社を有する会社はその子会社の財務諸表も合算した連結財務諸表を作成しなければならないので、SoftBankもスプリントの業績や財産状態を反映した連結財務諸表を作成します。
ここで今問題となっているのが、スプリントは自身の財務諸表において約2500億円もの減損を計上しているのに、SoftBankの連結財務諸表ではそれが一切出てきていないということです。
これを説明するためには、まず減損とは何なのかについて説明する必要があります。
話を分かりやすくするために、建物を取得したときの例でいきましょう。
まず、建物を1億円で購入したとします。建物は財務諸表上は、取得原価で計上し、減価償却を行って毎年財務諸表上の金額を減少させていきます。
長く使ってたら価値は間違いなく減少するけど、その減少した価値がいくらなのかを金額で表すのは不可能であるために、一定の方法で減価値させてくということです。
この建物が10年使えるのだとすると、1年間で1000万円の減価償却を行う(定額法の場合)ので、3年使ったとしたら財務諸表上の価額は7000万円になります。
しかし、たとえばこの建物の老朽化が早くて、実際にはこの建物には5000万円しか価値がないと判定されたとしましょう。
すると、2000万円の減損が計上される。といったことです。
話を本題に戻します。
SoftBankとスプリントの間で減損の処理が異なってしまったのは何故なのでしょう??
「これは会計基準が異なるからです。SoftBankは、国際会計基準(IFRS)に基づいて財務諸表を作成しているが、スプリントは米国会計基準に基づいて財務諸表を作成しているから、資産のグルーピング単位に相違が出てしまったのです。」
この意味を説明してみましょう。
まず、減損損失は、ひとつひとつの資産について価値(さっきの例でいう5000万円)を測定するわけではなく、複数の資産をグルーピングして、それらの帳簿価額の合計よりも実際の価値が下回っていたら計上することになっています。
ニュースや株主総会でのコメントで主張しているのは、このグルーピングのやり方に違いがあるから、会計処理が違うのだ!!ということです。
つまり、
IFRS→個々の資産じゃなく、会社全体の資産をグルーピングしている
米国会計基準→個々の資産をグルーピングしている
が、僕はこれを見て思いました。
「嘘つけや」と。
日本の会計基準では、減損のグルーピングの単位についてこう定められています。
なんで最小の単位でグルーピングを行うかというと、グルーピングの単位をアホみたいにでかくして、何かの事業で損失がでてても他の事業の利益で補って損失がでないようにするようなことを企業側に自由にさせないためです。
マイナス200の事業と500の事業をグルーピングすれば、減損なんてしなくていいですよね。
そこで、僕はIFRSの原文を見てみました。
するとそこには、「グルーピングは、最小の単位で行う」
と書かれていました。
この主張が誤っていると思った方は、ご指摘お願いします。笑
今日はほんまに難しい話題やったと思いますが、もっと詳しく聞きたい人とかいたらいつでも聞いてください!!