会計士の気まぐれ日記

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ブロックチェーンによる送金効率化

先日の日経新聞に、三菱東京UFJ銀行が米欧豪の主要な6行と提携し、ブロックチェーン技術を用いた新たな国際送金サービスを展開する旨の記事が掲載されていました。いかが、その記事となります。

 

www.nikkei.com

 

 

ブロックチェーンを用いることで、何が効率化されるのか?この送金サービスが開始された場合、一般の民間人にどのような影響を与えうるのかを今日は考えて見たいとお見ます。

 

 

※ブロックチェーンと聞くとビットコインを連想される方も多いかもしれませんが、ブロックチェーン=ビットコインでなはなく、ブロックチェーン技術を用いた仮想通貨の1つにビットコインがある、という関係になっています(ブロックチェーンの元祖はビットコイン)が、以下で例を使うときはイメージしやすいようにビットコインを使います。

 

 

まず、ブロックチェーン技術について簡単に説明します。ブロックチェーンを超簡単に定義づけするとすれば、「管理者を必要としない分散型ネットワークシステムを利用した金融取引」でしょうか。

ブロックチェーンの仕組みが与えるメリットは、大きく以下の3つがあります。

 

トランザクションの改竄による不正を防ぐことができる

②システムのダウンにより、取引が停止されることがない

③コストが大幅に削減される

 

 

 

まず①について。普通の銀行取引の場合、例えばある銀行のデータベースに対するアクセス権限があると、残高とかを不正に改竄することが可能となります。最近でも、SMBCの支店長がデータ改竄によって不正送金を行って逮捕された事件がありましたよね。こういう不正が、分散型ネットワークの下ではできなくなります。なぜなら、ブロックチェーンにまつわる取引の全てがネットワーク参加者によって監視されており、過去のトランザクションと齟齬をきたすような取引は承認されない仕組みになっているからです。

例えば、ビットコインを所有していないAさんがBさんへ1ビットコイン送金したとします。すると、本来は存在しない2ビットコインが誕生したことになります。しかし、過去の取引から考えるとこの2ビットコインは明らかにおかしいので、この取引記録が不正であることがバレてしまうのです。

そのため、分散型ネットワークによって不正が行われるリスクを抑えることができるというメリットがあります。

 

 

次に、②について。

普通の金融取引は金融機関が間に入って管理をしていますよね。例えば、国内にいるAさんが同じく国内にいるBさんに送金をした場合、Aさんが、自身が口座開設している金融機関にBさんへの送金依頼をかけ、金融機関が当該取引を金融機関自身が管理しているデータベース内での残高移動を行うことによって取引を完結させることになります。つまり、金融機関が取引の管理者となっています。

この場合、金融機関が管理しているデータベースが何らかの原因によりダウンしてしまうと、当該金融機関を介した金融取引が全てストップしてしまいます。

一方、ブロックチェーンの場合は、ネットワークシステムをインストールしている世界中のコンピュータが全て一斉にダウンしない限り、取引がストップすることはありません。そして、そのような事態が発生するのは巨大隕石が衝突したりしない限りありえないので、実質的にシステムのダウンにより取引が停止することがないと言えます。

 

 

 

今回MUFGが国際送金にあたってブロックチェーンを採用しようとしている理由の中に、上記2つの恩恵を授かるためという要素も存在しているでしょう。しかし、おそらく一番このシステムを採用しようとした一番の理由は、③のコスト削減だと考えられます。

そもそも②でも挙げたとおり、金融機関は自行のデータベースがストップしないようにするために莫大な費用を掲げています。しかし、ブロックチェーンを採用した場合は、そもそもこのようなデータがストップしないようにするためのコストがほとんど不要になるため、運営コストが大幅に削減されるのです。

以上より、現在海外送金で大きく搾取している手数料を手放してでも、それを上回るコスト削減メリットがあると考えられることからこのようなブロックチェーン技術を導入しようとしてるのだと思います。

 

 

これまで述べたように、銀行には大きくコスト削減というメリットが掲げられていますが、民間人はどのようなメリットを受けることができるのでしょうか?

やはり、海外送金の手数料が格段に安くなること、着金までにかかる時間が大幅に縮小されることでしょう。

現在の海外送金システムは、コルレス銀行(国内口座と海外口座を中継する役割を担う銀行。JP Morgan ChaseやCiti Bank、Deutsche Bank等が主要なコルレス銀行)を通じて送金が行われるようになっていますが、振込下銀行からコルレス銀行への口座振替依頼→コルレス銀行による口座振替→振込先銀行への振込というプロセスを踏むのに非常に時間がかかるため、着金までに数日を要するようになっています。

これが、ブロックチェーンを用いて海外送金をする場合はこのコルレス銀行が不要となるので、ほぼリアルタイムで送金が可能となるのです。

 

 

 

私も勉強不足でこのへんの分野はまだまだ知らないことが多いのですが、近い将来金融取引がもっと便利になりそうで楽しみです。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございます。