会計士の気まぐれ日記

ビジネスに関する有益な情報をお届けします。たまにただ思ったことや感じたことを書きます。

有名企業からの脱出

前回のエントリーで、冨山和彦さんの記事を紹介しました。

「IGPI流−経営分析のリアルノウハウ」という本を読んで、「この人はすごいな」と思わされた冨山さん、最近新しい本を出版していたようなので、Kindleでソッコー購入してしまいました。

 

その本がこちら。 

 

別に私、今すぐに転職を考えているわけではありません。笑 しかしこのタイトル、どうも気になると思って読んでみました。

 

 

内容は、基本的に以下のような流れで書かれています。

 

①大企業で長年勤めている人は会社病に陥りがちであり、ムラ社会の虜になった社員が会社を危機に追いやっている事実を指摘

 

②経営を再生させる現場の姿を解説

 

③リーダーに必要な条件を考察

 

④会社に左右されない生き方の見つけ方

 

 

私も今年サラリーマンになって思ったことは、長年続いている大企業等の大きな組織はかなりのムラ社会であり、基本的に他の世界に対する視野がかなり狭くなること。

社内の飲み会へ行けば、社内の誰かの話題で持ちきりになったりする。本来そんなことどうでもいいはずなのに、特に共通の話題とかもないためこうなってしまうのです。

 

 

そして、その中で競争が始まる。ここでいう競争は、「社会」での競争ではなく、「会社」での競争です。

組織の中で上へいくためには、仕事のスキルや頭の良さだけではなく、上司とのコミュニケーションのうまさや、人付き合いの良さ等の要素も重要になってきます。しかし、冨山氏はこれを「出世争いごっこ」をしているにすぎないと指摘します。

出世をしていく上で様々な苦難があるかもしれません。しかし、その苦難によってメシが食えなくなるわけでもなければ、生活に困ることはない、つまり、リアリティがないということです。この「ごっこ」を長年続けていると、社内で勝った、負けた等のバーチャルな世界を生きることになり、いつのまにかリアルな世界より優先してしまうから、組織の人間を簡単に社会的規範や法律に反する行動に駆り立ててしまうことがあるということです。

 

つまり、外の世界を見えなくする会社病は、善悪の判断を鈍らせるということなんですね。冨山氏は、これを危惧しており、この病がなくならない限り、粉飾決算等の企業不正を根絶するのは難しいと考えているのです。大企業にいるのが一番安全と考えている人は、自分が安全と思ってやっている業務が実はめちゃめちゃ危険なことではないか、立ち止まって考えて見る必要があるのかもしれません。

 

 

冨山氏は、これから自分が会社に左右されずに人生を生きて行くには、以下のことが重要だと本書では述べられています。

 

 

・「この問題については自分が世界一」とだと言えるか

やはり、自分の頭で考えるということが大事。世界一とはいっても、”ものすごく特定の状況”で世界一になればいい。なぜなら、重要な意思決定や問題ごとは、いつも”特定の状況で”起こるものだから。

そして、そうなるためには、普段から人より、ものを考えていることが必要になる。

 

・人とは違う視点で、ものを考えるよう努力している。

・一定レベルの勉強をしている

・人よりもタフな経験をしている

 

このような条件が必要になってくる。

 

 

・自ら進んでタフな環境に身を置き、ストレス耐性を身につける

社畜になってはいけない、プライベートを充実させないと幸福になれない、という甘いことを言っている人間はリーダーになるにはふさわしくない。大きなストレスがかかり、「ああ、もうダメかもしれない」と追い詰められる状況で、アドレナリンが出て高揚感を得られるタイプなのか。それとも、ストレスに打ち負かされるのか。ということ。ここで高揚感を感じられる人はリーダーに向いている。

 

 

何も組織の中のリーダーじゃないとしても、人はみんな自分のリーダーです。起業したり投資家になったり開業したり、様々な場面で自分に対するリーダーシップを発揮しないといけません。だから、この話は必ずしも組織のリーダーを目指していなくても、将来成功したい等志高い人すべてに関係してくるのだと思います。

 

 

また冨山氏は、人間はだんだんと選択肢が減って行く生き物だと指摘します。以下、抜粋

 

 

これからビジネスパーソンはいかに生きて行くべきか。その答えは、とてもシンプルだと思っています。自分の成功や幸福の尺度を自分の中に持っているかどうか、ということです。それに尽きると思います。

(中略)

これをできるだけ早く持った方がいい。早ければ早いほど、それに合わせるだけの時間的な余裕が出てきます。遅くなればなるほど、人生の時間は短くなって、能力的なフレキシビリティはなくなっていきます。定義をしたはいいものの実現は難しくなっている可能性が高まっていくということです。

(中略)

多くの若い人が勘違いをしてしまうのは、「年を経いくと経験値が増え、社会的地位も上がるから、できることは増えていく」と考えていることです。そうではありません、むしろ、やれることは減って生きます。もっと言えば、人間は無能に近づいて行くのです。

(中略)

人生というのは、途中までは選択肢が増えて生きます。学校教育は、選択肢を増やすために行われているといっていいでしょう。私自身も、アメリカのビジネススクールに行った時くらいまでは、ずっと選択肢は増え続けていました。30代までは増えていたと思います。でも、40代で産業再生機構のCOOになったところから、むしろ選択肢は減っています。

人生の選択肢が減って行く時、自分の選んだ仕事がたまたま自分の成功や幸福の尺度と一致していればいいですが、一致していなかったとすれば、結構生きづらいでしょう。そしてもし、自分の尺度を持っていなかったとしたら、一致するも一致しないもない、という話になってしまう。そして、何も考えずに会社員生活を過ごしていたら、いったい最後にはどうなってしまうのでしょう。

 

 

 

 

成功と幸福の尺度。これを考える時間、「7つの習慣」で言えば「緊急でない、重要な事項」に充てる時間を増やすことが重要なのでしょうね。

 

 

この記事では、本書のパーソナルな部分を取り上げて書きましたが、実際本書を読んで見ると、経営のノウハウや、なぜ会社がダメになってしまうのか等も、実際の現場を経験していないと持てない視点から解説してくれており、読み応えがあります。

個人的にかなりおすすめなので、ぜひ読んでみてはいかがでしょうか。

最後までお読みいただきありがとうございます。