会計士の気まぐれ日記

ビジネスに関する有益な情報をお届けします。たまにただ思ったことや感じたことを書きます。

SPCって何?

お久しぶりです。 

今日は、SPCについての話をしたいと思います。



SPCとは、特別目的会社のことで、Special Purpose Companyの略称です。



では、SPCとはなんなのか。なにが特別目的なのでしょうか?
SPCは、資産の流動化に関する法律のもとで認められている会社のことで、その名の通り、資産を流動化するために設立された会社です。 




じゃあ、資産の流動化ってなんやねんって話になりますよね。 
簡単に説明してみましょう。 




バブルの時代ってありましたよね?あの時代って、とにかくモノの価値がずーっと上がり続けていたんです。
だから、少し賢い人はそこで土地とか建物とか、とにかく不動産をいっぱい購入しました。



そりゃそうですよね。1億で買った不動産が1年後には1億5000万の価値になったりするものですから、買って当然ですよね。



でも、バブル崩壊が起きてしまいました。これは、簡単に言ってしまえば、モノの価値が高すぎると考えた人たちが次々と不動産を売ろうとし、それにつられて他の人たちも不動産を売ろうとし、その連鎖が発生したために起きる現象です。



モノの価値は、買い手が多ければ上がり、売り手が多ければ下がります。バブルの崩壊は、売り手が過剰に発生し、価値が下がってもまだ買い手が見つからないというルーティンのなかで発生するものなのです。



とにかく、これにより不動産の価値がかなり下がってしまったとしましょう。バブルが崩壊したからといって、それ以降不動産の価値が上がらないということはありえません。むしろ、バブル崩壊により、購入価額が下がりきった不動産を購入し、また価値が上がったときに売却したらかなりのキャピタルゲイン(売却益)を得ることが可能になります。



しかし、価値が下がったからといって、数億円以上する不動産を一括で購入してくれる人はなかなかいません。





そこで、SPCを使うのです。



企業Aが、価値が低くなってしまった不動産Bを所持していたとしましょう。
その不動産は、そのまま所持していても買い手は一向に見つかりません。


そこで、企業AはSPCを設立し、そこに不動産Bを譲渡します。


SPCにおいて、不動産Bに関する証券を発行します(1億円の資産なら、一口50万円の債券を200口発行する感じ)。


これくらいの金額なら出資できる人も多くいるので、資金調達が通常よりも容易になります。
そして、証券の発行によって集まったお金を他の資産に投資するなどして運用し、1億円を1億1000万円に膨らまします。



そしたら、出資してくれた人たちに出資金を返済しても、1000万円近く残りますよね。


実際の業務に比べて死ぬほど簡単な例ですが、これがSPCを使った資産の流動化というものです。


SPCは、資金調達を容易にしてくれるというメリットだけでなく、財務体質を改善したり、一定の条件(財務諸表規則第8条7項参照)がそろえば、財務諸表を作成するにあたって連結対象から除外することができるというメリットがあります。



財務体質の改善とはつまり、SPCに対して不動産を売却し、連結除外とすることで、不動産という固定資産を、現金などの流動資産に変えることができるということです。


一般に、流動資産が多い会社のほうが財務体質が良いと評価されます。



また、SPCに対して不良資産を売却し、それを連結から除外することで、不良資産の隠ぺいを図ることができます。



これにより、多少のデメリットがあったとしても、株価を維持したり上昇させたりすることができたり、利益操作もしたりできるようになります。



また、税制面でも優遇を受けることができるようにもなります(今回は説明しませんが)。




このように、SPCは多くのメリットがあるため、もし自分が将来会社を作ったり、企業の取締役になったときはSPCの知識も知っておくべきだと思います。




ただ、あまりこのメリットを悪用しすぎると、日興コーディアルグループのように粉飾決算として捕まるので、気をつけましょう。笑