会計士の気まぐれ日記

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TPPってなんやねん

今日は、TPP環太平洋戦略的経済連携協定)について話していきたいと思います。

 
 
まず、TPPとはそもそもなんなのか?これをまだ知らない方もいるかと思うので、簡単に説明します。
 
 
TPPは、大きく分けて2つの特徴があります。
 
①輸出入品の関税撤廃
②金融サービスや知的財産権など、多岐に渡る分野における国際間でのルールの統一化
 
 
この中でもよく議論されるのは、①の方ですよね。
 
②のことについては、知らなかったーーって方も結構いるかと思います。
 
 
まあでも確かに、TPP交渉にあたって主に議論になっているのは①の問題であることは事実なので、今日は①について話していきたいと思います。
 
 
 
そもそも、なぜ太平洋を囲む国々の間での関税を撤廃しようとしているのでしょうか?
こんな話が出てくるのは、もちろんそれによってメリットが存在するからです。
 
 
では、TPP参加による日本目線でのメリット(今回は、関税撤廃によるもののみ)を挙げてみると、、、
 
 
1、関税が撤廃されて貿易手続が簡素化されることによって、衣食住にかかわる多くの商品が安く購入できるようになる
2、日本の優れた工業製品などを輸出しやすくなり、その結果として、国内の雇用や収入にも好影響を与えることが期待される
 
 
 
 
まず、1について見てみます。
 
 
 
これについては、イメージは容易にできますよね。
 
関税がかかるために、日本への輸出を止めている商品は多くあります。
 
 
ところが、関税が撤廃されると、日本への輸出を止める理由がなくなるため、より多くの海外製品が日本に入ってくることとなります。
 
 
ご存知の通り、基本的に衣食住に関わるもの、特に農産物などに関しては海外から輸入したものの方が国産よりも安いです。
 
 
そのため、国民にとっては生活のコストが削減できるようになるというメリットがあります。
 
 
 
 
次に、2についてです。
 
 
内閣府によると、このロジックは、
 
まず関税が撤廃されることによって相手国も日本の製品を積極的に輸入するようになり、様々な分野において日本の輸出額が増加する
日本企業の業績が上がり、日本のGDPも増加する
業績が上がることによって給料も上がり、人々の暮らしが豊かになる
 
 
さて、このロジックはなんとなく理解できるし、確かにその通りだろうと思います。
 
 
じゃあ、メリットだけなのでしょうか?
そんなことはありません。
次は関税を撤廃することによって発生すると考えられるデメリットを挙げていきます。
 
 
1、海外の安価な商品が流入することによって、デフレが発生するおそれがある
2、米国から安い農産物が多く輸入されてくることにより、日本の農産物が売れなくなってしまう
3、海外製品の流入により、安全基準の低下が懸念される
 
 
ざっくり言えば、こんな感じです。
 
 
 
1の問題について、まず、海外の安い製品を仕入れて日本で販売する場合、もちろん国産のものよりも高く売るのが普通です。
 
 
だって、アメリカ産の牛肉が国産の牛肉より高いとき、前者を買う人なんかほとんどいませんよね。
 
 
販売単価が引き下がるようになると、企業は強豪他者よりも価格を下げて、他者に対する優位性を確保しようとします。
 
 
これは、確実にデフレ(物の価値が下がること)を巻き起こすと言えます。
 
 
先日、公認会計士の実務補習所での研修でビジネスゲームをやったのですが、デフレのパワーはすごいです。笑
 
 
 
販売単価を下げると、多くの量を売ってもあまり利益がでない。むしろ、他者も単価を下げているのなら自社が単価を下げたところでシェアを勝ち取るのは難しくなるため、販売量は伸びずにただただ売上高が少なくなってしまう、、、
 
 
 
こうなると、企業は利益なんか出たもんじゃありません。
利益を出すためには、経費をなんとかして削減しなければならない。
つまり、人件費を削る必要があるのです。
 
 
すると、被雇用者は給料が少なくなり、ますます安いものしか買わなくなり、またデフレになって、、、っていうデフレスパイラルに陥るおそれがあります。
 
 
先ほどメリットを上げたときには、輸出額が増えて利益が出るから、給料も上がるって言いましたが、個人的にあれは国外に多くの子会社を持つ大企業に限った話やと思います。
 
 
しかも、関税がかからないからといって、為替が変動すれば十分損失は発生する可能性があります。
 
 
 
次に、2について
 
 
これがみなさんが一番よく知っているデメリットではないでしょうか??
 
 
日本の農家が圧迫されることはまずまちがいないでしょう。
 
 
程度としては、そこまで深刻な問題にはならないと思いますが(多少外国産の農産物が安くなったからといって、国産のものを買い続ける人は少なからず存在するから)、日本の農家が圧迫されると、ますます農家を継ごうとしない若者が多くなることが懸念されます。
 
 
 
こうなると、日本の農業自体の存続が危ぶまれてしまうと言っても過言ではないでしょう。
 
 
 
最後に、3について
 
 
 
日本の製品は、安全基準が世界トップレベルで高いことで知られています。
 
 
それなのに、海外製品を多く輸入するようになると、日本の食生活、医療などの様々な面で安全な暮らしが脅かされます。
 
 
 
 
以上、TPPについて話しました
 
 
 
TPPはまだまだ複雑な問題であり、こんなちょっとの考察だけで判断できるようなものではないのですが、僕はTPPには反対です。
 
 
確かに、他国との同調を図ることは重要やとは思うけど、これに関しては先ほど述べた内容から、メリットよりもはるかにデメリットの方が大きくと思うからです。
 
 
ちょっとばかし、アメリカのエゴっていう風にも見えますしね。
 
 
 
皆さんは、TPPについてはどうお考えでしょうか??