会計士の気まぐれ日記

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VALUが持つ将来性

先日、有名Youtuberであるヒカル氏、ラファエル氏、いっくん氏らが自身のVALUを大量にVALU市場に売り出すという騒動がありました。

今日は、一連の騒動が起こった経緯を通じてVALUに存在している抜け穴を探り出し、VALUからどんなサービスが派生する可能性があるかどうかについて考えてみたいと思います。

 

 

 

まず、VALUについての概要をみていきましょう。

 

 

VALUは、今年の5月に開始したサービスで、簡単に言えば自分という株式を、VALUという市場に公開して、資金調達等を通じた支援を仰ぐものです。

VALUの発行時の価値は発行者のSNSのフォロワー数等を通じて自動的に計算され、それ以降発行されたVALUへの需要次第で価値が変動するようになっています。

そのため、例えば発行時は発行者が無名であるためにかなり安く発行されたVALUを購入し、それ以降で発行者の名前が売れたりしてVALUの価値が上がったら、初期に購入していた人は値上がり益を期待できるし、発行者自身が自分のVALUを多く保有していれば、かなりのキャピタルゲインを獲得することも可能となります。

 

 

発行者は、VALU発行後に自らの価値を向上させるために何らかのサービスを開始するもよし、支援してくれた人に優待を出すもよし

購入者は、発行者の潜在的な価値を見出して購入後の値上がり益を期待するもよし、純粋に発行者を支援するために購入するもよし

 

 

このように、人によってそれぞれVALUの利用方法は異なってくることになります。

 

 

 

この前提を踏まえた上で、今回のヒカル氏らの騒動について考えてみます。

今回の騒動の流れを超簡単に示すと、以下のようになります。

 

 

・ヒカル氏が、Twitter上で、「VALUの優待を出す」と発言。これにより、ヒカル氏やラファエル氏のVALU価格が高騰。

・ヒカル氏の知人である井川氏は、このタイミングで保有していたヒカル氏のVALUを全て売却

・翌日、ヒカル氏、ラファエル氏、いっくん氏が一斉に自身の保有する全てのVALUを売り出し。売り出し価格は、前日のストップ高

・これにより、前日のヒカル氏による優待発言に期待して買い注文を発注していた人の注文が約定。しかし、前日のストップ高に巨大な売り注文が存在するため、VALUの価格は下がる一方。結果として、損失を確定した人が続出。ヒカル氏らは、値上がり益を獲得。

 

 

こんな感じです。

個人的には、影響力のあるYoutuberはいろんなコンテンツを提供していて、世の中の幸福に貢献する姿勢はめちゃめちゃ尊敬するし、それによって金儲けをしてもらうのはおおいに結構と思っています。

 

 

ただ、今回のVALUの件は、さすがに一線を超えてしまっていると思います。

もし仮に本当の株式市場で同様のことをやったら、ほぼ確実にアウトです。笑

ヒカル氏は、後に「VALUを小銭稼ぎする目的で購入する人を気持ち悪く思ったし、そのような目的でVALUを購入してほしくない」と主張しています。

しかし、もちろん以下のようなバッシングが続出します。

 

 

「VALUをつかって数千万稼いだやつが、VALUで小銭稼ぎするやつは嫌だということは甚だ矛盾していないか」

「優待を出すと吹聴して値上がりを煽り、自身は売りぬけるのは完全な相場操縦ではないか」

「井川氏が前日に売り抜けているのは、インサーダー取引ではないか」

 

 

 

これを受けてヒカル氏もさすがにヤバいと悟ったのか、後日自社株買いを実施しています。

ただ、本人は「優待を出すとは言っていない」と主張していますが、Twitter上で優待を出す趣旨のツイートをしたのは事実であるし(当該ツイートは削除済み)、「優待を出す」と言っておきながら結局優待は出さずに価格を釣り上げておいて自分は売りぬけるという行為は、それこそノリとかでは済まされない行為です。詐欺罪にあたる可能性もありますし。

 

小銭稼ぎ目的で購入する人が嫌だったからという大義名分は、こういう価値を売買する市場においては通用しないと思います。いくらVALUがその人を支援するのが目的だからといって、サービスの性質上VALUを投機目的で利用する人が一定数存在するのは避けられない事実だし、そういう人が嫌ならそもそもVALUを利用しなければいいのはないでしょうか。と、思ってしまいます。。

 

 

とはいえ、今回の件で浮き彫りになったのは、紛れもなくVALUというサービスにはまだまだ整備不良な部分が多いということです。金融商品取引法が鬼のように複雑であるように、こういう市場を規制しようと思ったら抜け穴をつぶす大量のルールが必要となるのです。

しかし、まだVALUにはルールが整備されきっていません。まあサービスの開始からまだ間もないので仕方ないといえば仕方ないですが、今回のようなことを根絶するためには、課徴金や刑罰といったような罰則を用意する必要があります。VALUが現状罰則として定めている、「退会」、「取引停止」は、罰則としては不十分な気がします。

 

 

 

ただ、もちろんこういう罰則を設けるのも簡単にはいきません。利用規約で罰金とか刑事罰の規定を作るにしても、法律上の絡みがあって簡単には作れないでしょうし。

そうなってくると、VALUの取引に関連する法律に強い弁護士は儲かるのかなと思います。どの取引はOKで、どこからアウトになるのかを、関連する法律を用いてコンサルティングする弁護士はまだほぼいない一方で、そういう案件の需要はこれから少しずつ増えて行くかもしれません。

 

 

あと、もう少しVALUが一般的に認知されるようになってくれば、VALU発行者の潜在的な価値を第3者の立場からレーティングするようなサービスも始まったりするのではないでしょうか。VALU四季報とかいって、値上がりが期待できるVALU発行者をまとめたサイトや本ができたら、結構需要があるかもしれません。

 

 

いずれにせよ、このVALUから派生したサービスが生まれてくる可能性が高いと思われます。しかし、個人的にこういう派生サービスが生まれれば生まれるほど、VALUが投機対象のものに近づいてしまいかねないので、VALUというサービスが認知されればされるほど、VALU社が本来VALUに期待する目的から遠のいていくというジレンマに陥ってしまうのかもしれないですね。。

 

 

とはいえ、VALUをきっかけに才能を開花させて成功を収めることができる人ももちろん出てくるでしょうから、悲観的にならず、これからの動向には是非期待したいものです。

 

 

 

今日も最後までお読みいただきありがとうございました!!